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VHL(フォン・ヒッペル・リンドウ)病とは?


  ■病名と歴史

  1900年初めくらいにドイツの眼科医ユージン・フォンヒッペルが網膜に発生する多発性の血管種を報告しました。それから20数年遅れてスウェーデンの神経病理医リンドウが中枢神経(小脳など)に血管腫が多発する病気を報告しました。2人の名前をとってVHL(フォン・ヒッペル・リンドウ)病という名前になりました。

  ■VHL病はどうして起きるのか?

  VHL自体は癌抑制遺伝子という遺伝子の範疇で、VHL遺伝子が正常に働いていれば細胞の増殖を抑える働きをします。遺伝情報は父親からと母親からの2つがセットになっています。片方のVHL遺伝子に傷が入っても何も起こりませんが、もう片方のVHL遺伝子にも傷が入ると腫瘍化がはじまります。VHL病の患者は生まれた時点で片方のVHL遺伝子に傷が入っていますので、もう一つの遺伝子に傷が入ると腫瘍化が始まってしまいます(=1979年にクヌードソンが提唱した癌抑制遺伝子のツーヒットセオリー)。

  ■病気の特徴

  病気としては常染色体の優性遺伝という形をとります。欧米の論文では4〜5万人に1人といった頻度の非常に稀な病気です。浸透率(素因をもっている方が一生のうちに病気を発症する割合)はVHLの場合は100%に近いといわれています。
  病気の特徴はのう胞や小さな血管を富む腫瘍を発症し、腫瘍が身体のあちこちに出来ます。のう胞や腫瘍は一般の人にも出来ますが、VHL病の方は若い年齢から沢山発生します。
  VHLには亜系が分類されており、T型が褐色細胞種(血圧を上げるなどのホルモンを出す腫瘍)を作らないタイプで80%位を占めます。褐色細胞種を作るタイプがU型で20%を占めます。
  VHLは常染色体の優性遺伝ですので、子供は男女の関係なく50%の頻度で体質が受け継がれます。50%はあくまでも確率なので家系によっては7人の子供の内6人が受け継いだ家系もあり、また6人の内1人だけが受け継いだ家系もあります。
  VHL病の患者の約80%は罹患した親からの遺伝で、約20%は新生突然変異と考えられるそうです。

  ■どんな病気が起きるのか?

腫瘍の発症部位 発症年齢 発症頻度
網膜の血管腫 10歳前後で発症 40〜60%
日本では少し低い)
中枢神経の血管芽腫 20歳前後 高い
褐色細胞腫 20〜30歳 U型家系の頻度が高い
腎臓癌 30歳代後半 50%以下程度

注釈
本文章は「ほっとchain」第2回総会にて行われた
横浜市立大学 泌尿器科 矢尾正祐先生の講演から抜粋させて頂きました。